会社が、従業員の年次有給休暇について、日にち指定をしてきます。
違法でしょうか?

年次有給休暇は、労働基準法で定められた労働者の権利です。
年次有給休暇をいつ取得するか(日にち)や、取得する理由は労働者が自由に決定することができます

ただし、会社の業務が回らなくなる場合は、取得日の変更を求められることがあります。

また、計画的付与を行っている会社の場合、会社側が取得日を指定することができます。


◆会社の業務が回らなくなる場合は、時季変更権が認められる      

労働者は、利用目的がどんなものであっても、好きなときにいつでも年次有給休暇を取得できるのですが、例外があります。

(1)年次有給休暇の利用目的が、「自社の労働争議に利用する」という場合。

自社の労働争議=自社でストライキを行うという利用目的である場合には、会社側は労働者に年次有給休暇を認める必要がなくなります。


(2)年次有給休暇を取得することにより、業務の正常な運営が妨げられる場合

労働者が年次有給休暇を取得することによって会社の業務が回らなくなってしまう場合には、会社側は、別の日に年次有給休暇を取得するよう時季を変更することができます。(年次有給休暇の時季変更権)

この時季変更権は、業務が忙しいからという程度では、行使できません。
例えば社員5名の会社で、仕事を行う為に最低3人の人員が必要な時に、3人の社員から年次有給休暇の取得を希望され2人しか残らない=仕事が回らないといった場合に行使できます。

尚、時季変更権は年次有給休暇を取得する日を変更するだけで、年次有給休暇の取得そのものが認められないわけではありません。


◆計画的付与制度をとっている場合は、会社側が指定できる          

また、「年次有給休暇の計画的付与制度」をとっている場合は、例外です。
計画的付与制度とは、労働者の年次有給休暇日数のうち5日を超える日数の取得時季を会社側が指定することができるという制度です(労働基準法39条6項)。

例えば、今年20日の年次有給休暇を使うことができる場合についてみてみましょう。
計画的付与を行っている会社では、自由に休暇をとる日にちを決められるのは、20日のうち5日だけです。
残りの15日については、会社側が取得日を決めることができるのです。

ですから、「今年の3月1日は全社員、年次有給休暇によって休暇となります」と会社側が決めれば、そのようになってしまうのです。

会社が年次有給休暇の指定日を指定してくるという場合は、自分の勤めている会社が計画的付与制度をとっているかどうか確認してみましょう。