ある週に、従業員が1日だけ年次有給休暇を取得しました。
しかしそれによって仕事に遅れが生じてしまい、残業をしなければならなくなりました。
このように、年次有給休暇の取得によって超過勤務を行った場合、残業代などの手当てを支払う必要はあるのでしょうか。

労働基準法では、1日8時間ないしは週40時間を超えて行った労働を時間外労働として取り扱い、通常の1.25倍の割増賃金(時間外勤務手当)を支払わなければならないと定められています。(労働基準法第32条・第37条)

1日8時間ないしは週40時間という法定労働時間は、実際に仕事を行った時間をカウントします。
労働を行っていない年次有給休暇取得日については、労働時間には含まれません。
年次有給休暇を取得した日の労働時間は、ゼロ時間になります。

これを踏まえ、当該社員の1週間の労働時間が40時間を超えているか(超過勤務をしているか)どうかを確認します。

例えば、水曜日に年次有給休暇を取得したために、本来公休である土曜日に残業をした場合、月、火、木、金、土で1日8時間ずつの労働であれば、週40時間労働に収まるため、割増手当(1.25)の支払い義務は生じません。


日 月 火 水 木 金 土

 出 出 年 出 出 
 勤 勤 次 勤 勤 
 ⑧ ⑧ 有 ⑧ ⑧ 
     給     
      
      



しかし、月曜日の実働時間が10時間(2時間の超過勤務)である場合は、週42時間となり、週40時間を超えてしまいます。


日 月 火 水 木 金 土

 出 出 年 出 出 
 勤 勤 次 勤 勤 
 ⑩ ⑧ 有 ⑧ ⑧ 
     給     
      
      



このような場合は、週40時間を超過した2時間分について、割増手当の支払い義務が生じることになります。