うちの会社は小さい会社なので、従業員が同じ日にちに一度に休んでしまうと困ってしまいます。
申請を出すのが早かった順で、早い者勝ちで年次有給休暇を与えても違法にはならないでしょうか?

労働者から年次有給休暇の申請を受けた会社は、指定された日に休暇を取らせなければならないというのが原則です(労働者の「時期指定権」)。

しかし会社には、事業の正常な運営が妨げられる場合には指定された時期を変更できる権利「時期変更権」があります。
「時季変更権」は、労働者が年次有給休暇を取得することによって会社の業務が回らなくなってしまう場合には、会社側は、別の日に年次有給休暇を取得するよう時季を変更することができるという権利です。
「時季変更権」は、業務が忙しいからという程度では、行使できません。
例えば社員5名の会社で、仕事を行う為に最低3人の人員が必要な時に、3人の社員から年次有給休暇の取得を希望され2人しか残らない=仕事が回らないといった場合に行使できます。)

時季変更権は年次有給休暇を取得する日を変更するだけで、年次有給休暇の取得そのものを認めないわけではありません。

たとえば、AさんとBさんが同じ日について年次有給休暇を希望しており、2人同時に休みを取ってしまうと会社の業務が回らなくなってしまうために時季変更権を行使する場合、申請が早かったAさんだけが休暇を取得できBさんは取得できないというような早い者勝ちではなく、AさんもBさんも休暇を取得できるが、取得する日にちを変更させることができるというものになります。

Aさん、Bさんのどちらの時期を変更するかについては、その時に会社がより必要とする方や、年次有給休暇を取る必要性が低い方を選ぶのが合理的と考えられるでしょう。