年次有給休暇の取得を、「月に何回まで」と制限することはできるのでしょうか?

年次有給休暇は労働者の権利であり、労働者が希望する日に取得することができます。
労働基準法の条文においては、「月に何回まで」とその取得を制限する決まりは設けられていません。

労働者は、希望するときにいつでも年次有給休暇を取得できます。

しかし、例外あります。

◆会社の業務が回らなくなる場合は、時季変更権が認められる       

(1)年次有給休暇の利用目的が、「自社の労働争議に利用する」という場合。

自社の労働争議=自社でストライキを行うという利用目的である場合には、会社側は労働者に年次有給休暇を認める必要がなくなります。


(2)年次有給休暇を取得することにより、業務の正常な運営が妨げられる場合

労働者が年次有給休暇を取得することによって会社の業務が回らなくなってしまう場合には、会社側は、別の日に年次有給休暇を取得するよう時季を変更することができます。(年次有給休暇の時季変更権)

この時季変更権は、業務が忙しいからという程度では、行使できません。
例えば社員5名の会社で、仕事を行う為に最低3人の人員が必要な時に、3人の社員から年次有給休暇の取得を希望され2人しか残らない=仕事が回らないといった場合に行使できます。

したがって、正常な業務が妨げられるほどではないのに、ただ忙しい時期だからというだけで、労働者の年次有給休暇の取得を2回まで、1回までという形で制限することはできないのです。

また、時季変更権は年次有給休暇を取得する日を変更するだけで、年次有給休暇の取得そのものが認められないわけではありません。