「プレミアムフライデー」は、経済産業相が呼びかけを行っている官民連携の
キャンペーンで、毎月末の金曜日の終業時間を午後3時に早めるよう企業に
呼びかけるというものです。
「買物や家族との外食、観光等やそのための時間の創出を促すことにより、
生活スタイルの変革やデフレ的傾向を変えるといった効果につなげていく」ことが
その目的とされています。
(義務でも行政指導でもないため、「プレミアムフライデー」を導入しなくても、
違法ではありません。)

「プレミアムフライデー」によって午後3時に退社することで、時間単位の
有給休暇を取得させる、午後をまるまる有給休暇に充てる、などの企業があると
報じられていますが、これは違法ではないのでしょうか。

年次有給休暇は労働者に認められた権利であり、希望する日に取得することが
許されるものであるはずです。

時間単位取得の場合、会社側が有給休暇の取得を強制することはできません。
「プレミアムフライデー」に時間単位有休の取得を強制的に行った場合は
労働基準法に反していると考えられます。

午後をまるまる年次有給休暇に充てる場合は、労使協定による年次有給休暇の
計画的付与を行っている必要があります。


◆時間単位の有休休暇の取得は、強制できない
 時間単位の年次有給休暇の取得は、次に説明する計画的付与とは異なるものであるため、
 会社側が休暇取得日や時間数を強制することは認められていません。

 また、時間単位の年次有給休暇の導入自体が、労使協定を結んだ場合のみ認め
 られる制度になります。
 労使協定を締結していない場合は、時間単位の有給休暇を取得することもできない
 ことになります。

◆「プレミアムフライデー」によって、時間単位有休がゼロに?
 また時間単位の年次有給休暇は、1年間に最大で5日分のみ取得が認められている
 ものです。
 1日の所定労働時間が8時間であれば、年間5日分=8時間×5日=40時間が時間単位の
 有給休暇として取得できます。

 所定労働時間が10時~19時であった場合、15時~19時までの4時間を時間単位有休に
 充てることになるため、毎月1回、1年間に12回×4時間=48時間が時間単位有休として
 使われることになり、これでは年間5日分までという上限を超えてしまうことに
 なります。

 同じく1日の所定労働時間が8時間で、所定労働時間が9時~18時の場合を見てみます。
 15時~18時を時間単位有休とすると、「プレミアムフライデー」には3時間の時間単位
 有休を取得することになります。


 「プレミアムフライデー」ごとに時間単位の有給休暇を取得した場合、毎月1回、1年間に
 12回×3時間=36時間となり、5日分(40時間)を上回りこそしませんが、時間単位有給
 休暇のほぼ全てが「プレミアムフライデー」によってなくなってしまうことになります。

 時間単位の年次有給休暇の制度の趣旨は、年次有給休暇の取得率の向上と仕事と生活の
 調和を図ることとされています。
 「プレミアムフライデー」によってそのほぼ全てが消化されてしまうことは、制度の
 趣旨に適しているのかどうか疑問が生じます。


午後をまるまる年次有給休暇に充てる場合は、計画的付与を行っている必要がある
 年次有給休暇の計画的付与を実施している場合は、「プレミアムフライデー」の午後を
 半日有休として強制的に有給休暇を取得させても、違法とは言えません。

 計画的付与とは、会社と労働者の代表または労働組合が労使協定を結び、有給休暇の
 5日を越える部分については、会社が取得日を指定してもいいという制度です。
 例えば、年次有給休暇が20日ある労働者の場合、自分で自由に取得日を選んで
 有給休暇を取ることができるのは5日だけで、残りの15日は会社側が指定した日に
 有給休暇を取らなければなりません。

 「プレミアムフライデー」の午後に、強制的に半日の有給休暇を取得させられたのに、
 計画的付与を実施していないという場合は、労働基準法に反していると考えられます。

◆計画的付与でも、問題が生じる
 しかし、年次有給休暇の計画的付与を行っていれば、毎月の「プレミアムフライデー」に
 強制的に有休休暇を取らせることができるかというと、必ずしもそうとはいえない問題が
 あります。

 「プレミアムフライデー」は毎月末ですので、年間12日あります。
 その全てを半日休暇とした場合、年間6日が必要です。
 計画的付与の場合、毎年5日間は労働者が自由に取得できる休暇としなければなら
 ないため、自由に取得できる5日+「プレミアムフライデー」6日=最低でも11日間の
 年次有給休暇を労働者が所持していなければならないのです。

 労働基準法に沿った年次有給休暇の付与を行っている場合、新入社員は継続勤務期間
 半年でやっと10日の年次有給休暇を付与してもらえます。
 継続期間が半年に見たず、有給休暇を付与されていない期間の「プレミアムフライ
 デー」はどうするのか?
 所持する年次有給休暇が11日に満たない場合はどうするのか?
 パートやアルバイトなど、付与される年次有給休暇が少ない労働者は、どうするのか?
 など、労使で決定する必要があると考えられます。