社員の年次有給休暇を、使用者である会社側が「買い上げる」という話をよく聞きますが、年次有給休暇の「買い上げ」は合法でしょうか?違法でしょうか?

年次有給休暇は、労働者に休息を与えることを目的として、労働基準法に設定された制度ですので、年次有給休暇の「買い上げ」は、原則として違法です。

ただし、下記のように、例外的に「買い上げ」が認められる場合もあります。


(1)法定を上回っている日数の年次有給休暇

会社によっては、労働基準法で定められている日数以上の年次有給休暇を付与している会社もあります。

法定日数を超えている日数分については、「買い上げ」が認められています。


(2)時効により消滅してしまった年次有給休暇

年次有給休暇は、労働基準法115条に基づいて、付与から2年で時効を迎え、権利が消滅します。
時効によって消滅してしまった分の年次有給休暇については、「買い上げ」が認められています。


(3)退職することによって消化できなかった年次有給休暇

退職予定者が、退職予定日までに消化できない年次有給休暇については、使用者側が「買い上げ」る事が認められています。


これら(1)~(3)の例外は、労働基準法に定められた義務ではないため、実際にどのような対処をするかは、各会社次第となります。

また、「買い上げ」を行う場合、「買い上げ」の価格についても、労働基準法には定めがないため、
各会社次第となります。
(会社側の「買い上げ」価格が著しく高くても、低くても、違法にはなりません。)